日本映画レビュー──2024年
碁盤斬り
公開:2024年5月17日
監督:白石和彌 脚本:加藤正人 撮影:福本淳 美術:今村力、松崎宙人 音楽:阿部海太郎
古典落語『柳田格之進』を基にした時代劇。
主人公(草彅剛)はあらぬ罪で藩を追われ、浪人となった実直で堅物の元藩士。娘(清原果耶)と貧乏長屋に暮らしているが、懇意にしている商家の主人(國村隼)との囲碁から戻ると、50両が失せたと番頭から濡れ衣を着せられる。
切腹して身の潔白を晴らそうとするが、それを知った娘が知己の吉原の置屋に身売りして50両を用意しようとする。女将(小泉今日子)は返済を条件に、年内の娘の水揚げを猶予。年末、50両が商家から出てきて一件落着。
商家の主人と番頭の首を撥ねる代わりに碁盤を一刀両断にするというオチ。
この落語の筋に、妻の自殺の原因となった賭け碁の宿敵(斎藤工)との復讐話が付け足される。
話術で聴かせる落語を映像化すれば話に辻褄が合わず、碁盤を一刀両断などギャグ漫画。賭け碁で身を立てる腕前の宿敵が、初歩的な囲碁の手筋の見落としで負けるというヤッツケのシナリオ。
白石和彌らしい安直なエンタテイメント時代劇に仕上がっている。 (評価:2)
