海月衛 映画帖
~映画の大海原をたゆたう~

外国映画レビュー──1902年

月世界旅行

製作国:フランス
日本公開:1905年8月
監督:ジョルジュ・メリエス 製作:ジョルジュ・メリエス 脚本:ジョルジュ・メリエス

太股女性多数出演のサービス満点エンタテイメント
 原題"Le Voyage dans la Lune"で、月への旅の意。ジュール・ヴェルヌの"De la Terre à la Lune"(地球から月へ)と"Autour de la lune"(月を回って)が原作。後半は、H・G・ウェルズの"The First Men in the Moon"(月の最初の男たち)が使われている。
 6人の天文学者を乗せた砲弾型ロケットが月に送られ月世界を探検するも、月人たちに捕らえられ辛くも脱出。地球の海に落ちて生還するというストーリー。中心となる天文学者にメリエス自身が扮している。
 月の顔にロケットが突き刺さるシーンが有名で、スコセッシの『ヒューゴの不思議な発明』(2011)にも使われているが、基本はSFというよりは科学を無視したスラップスティックなファンタジー。
 槍を持った月人の王国が登場するほか、太股を露出したホットパンツ姿の女性が多数登場し、エンタテイメントとしてもサービス満点。14分のサイレント映画として短いが、合成技術を使ったストーリー性のある作品となっている。
 評点は映画史的にいえば満点をつけるべき作品だが、誰もが見て楽しめるかという観点から評価した。 (評価:3)