TVドラマレビュー(外国)──2001年~
制作:AMCスタジオズ
形式:TVシリーズ
放送:2010年(6話)(日本 2010-2012年)
監督:フランク・ダラボン、ミシェル・マクラーレン、グウィネス・ホーダー=ペイトン、ヨハン・レンク、アーネスト・ディッカーソン、ガイ・ファーランド 脚本:フランク・ダラボン、チャールズ・H・イグリー、ジャック・ロジュディス、ロバート・カークマン、グレン・マザラ、アダム・フィエロ
黙示録の世界を描くシリアスすぎるゾンビドラマ
本格的ゾンビもののTVシリーズ。『ショーシャンクの空に』『グリーンマイル 』の監督・脚本のほか、『フランケンシュタイン』(1994)『プライベート・ライアン』等の脚本のフランク・ダラボンが企画・脚本・監督に参加している。
物語は逃走犯を追いかけていた保安官が銃撃されて瀕死の入院、目覚めたら病院には誰もなく、町はゾンビに支配されていたというところから始まる。病院で一人だけ助かった理由は#6で明らかになるが、主人公が自宅に戻ると妻子は行方不明。黒人父子との出会い、アトランタの町、採石場のキャンプの生存者、CDC(疾病予防管理センター)を巡り、仲間とともにCDCを後にするところまで。
ゾンビを題材にして人間関係を濃密に描くサバイバルドラマで、『LOST』の系統。ゾンビとの闘いがメインではないので、ゾンビファンの評価は割れるかもしれない。
いきなり世界は終末を迎えていたという展開で、ゾンビ発生の原因は明かされない。謎解きとしてシリーズのどこかで明らかになるのか、状況設定だけで最後まで明らかにならないのかは不明だが、明らかになっても往々にして説明が腰砕けになることが多い。
それでも日本のTVドラマにはないセットやCG、メイク等に金をかけている本格作品なのは見始めてひと目でわかる。ゾンビファンなら観ない手はないが、そうでない人は残酷シーンが多くかなりエグイことは知っておいた方がいい。冒頭で子供のゾンビの頭を銃撃するシーンがあり、日本なら問題になる。
アメリカのTVドラマらしく、ゾンビ以外に不倫やDV、人種問題や葛藤が描かれるが、ゾンビにある種のコミカルさや娯楽を求める人には、シリアスすぎると感じるかもしれない。 (評価:2.5)
形式:TVシリーズ
放送:2010年(6話)(日本 2010-2012年)
監督:フランク・ダラボン、ミシェル・マクラーレン、グウィネス・ホーダー=ペイトン、ヨハン・レンク、アーネスト・ディッカーソン、ガイ・ファーランド 脚本:フランク・ダラボン、チャールズ・H・イグリー、ジャック・ロジュディス、ロバート・カークマン、グレン・マザラ、アダム・フィエロ
本格的ゾンビもののTVシリーズ。『ショーシャンクの空に』『グリーンマイル 』の監督・脚本のほか、『フランケンシュタイン』(1994)『プライベート・ライアン』等の脚本のフランク・ダラボンが企画・脚本・監督に参加している。
物語は逃走犯を追いかけていた保安官が銃撃されて瀕死の入院、目覚めたら病院には誰もなく、町はゾンビに支配されていたというところから始まる。病院で一人だけ助かった理由は#6で明らかになるが、主人公が自宅に戻ると妻子は行方不明。黒人父子との出会い、アトランタの町、採石場のキャンプの生存者、CDC(疾病予防管理センター)を巡り、仲間とともにCDCを後にするところまで。
ゾンビを題材にして人間関係を濃密に描くサバイバルドラマで、『LOST』の系統。ゾンビとの闘いがメインではないので、ゾンビファンの評価は割れるかもしれない。
いきなり世界は終末を迎えていたという展開で、ゾンビ発生の原因は明かされない。謎解きとしてシリーズのどこかで明らかになるのか、状況設定だけで最後まで明らかにならないのかは不明だが、明らかになっても往々にして説明が腰砕けになることが多い。
それでも日本のTVドラマにはないセットやCG、メイク等に金をかけている本格作品なのは見始めてひと目でわかる。ゾンビファンなら観ない手はないが、そうでない人は残酷シーンが多くかなりエグイことは知っておいた方がいい。冒頭で子供のゾンビの頭を銃撃するシーンがあり、日本なら問題になる。
アメリカのTVドラマらしく、ゾンビ以外に不倫やDV、人種問題や葛藤が描かれるが、ゾンビにある種のコミカルさや娯楽を求める人には、シリアスすぎると感じるかもしれない。 (評価:2.5)
ウォーキング・デッド2
形式:TVシリーズ
放送:2011-2012年(13話)(日本 2011-2012年)
監督:アーネスト・ディッカーソン、グウィネス・ホーダー=ペイトン、フィル・エイブラハム、ビリー・ギアハート、ガイ・ファーランド、デヴィッド・ボイド、ミシェル・マクラーレン、クラーク・ジョンソン、グレゴリー・ニコテロ 脚本:アーデス・ベイ、ロバート・カークマン、グレン・マザラ、スコット・M・ギンプル、イヴァン・ライリー、デヴィッド・レスリー・ジョンソン、アンジェラ・カーン
本格的ゾンビもののTVシリーズ。フランク・ダラボンが企画・脚本・監督に参加。
前シリーズでCDC(疾病予防管理センター)を去った一行の車がエンストしたところでゾンビと遭遇。ソフィアの行方不明、カールの怪我といった二人の子供の話を中心に展開する。キャンプ地は農場に移り、農場主一家との新たな関係が加わり、最後に農場をでていくまでの話。
親子や仲間との関係でのウエットな話が多く、ゾンビとの絡みが希薄。それを単なるゾンビものではないヒューマンドラマと肯定的に捉えるか、ゾンビに名を借りた人間ドラマでゾンビものでないと否定的にとらえるかは見解の相違。ただゾンビ映画ファンからすれば、第2シリーズのウジウジした展開には違和感を覚えるかもしれない。
銃社会の問題、ゾンビの人権、防衛のための殺人、個と全体の命の軽重の問題など、現代アメリカの社会問題が前面に出てきて、これもゾンビ映画に何を求めるかで評価の分かれるところ。これをゾンビ映画と考えなければ、ドラマ的には良くできていて、意表を突くストーリー展開もあって楽しめる(中だるみでだらだらしたシーンも多いが)。
ゾンビ映画に拘ると、肝腎のゾンビが残酷シーンを描くための道具になり下がっていて本末転倒の印象を受ける。
ゾンビは妖怪・変化の扱いなので、どんなに残酷に描こうがレーティング的には緩くなるが、これが人間なら確実に成人指定。制作者がその規制の穴を狙って必要以上に残酷に描いているので、その姿勢はゾンビ同様に気分が悪い。 (評価:2)
ウォーキング・デッド3
形式:TVシリーズ
放送:2012-2013年(16話)(日本 2012-2013年)
監督:アーネスト・ディッカーソン、ビリー・ギアハート、ガイ・ファーランド、グレゴリー・ニコテロ、ダン・アティアス、ダン・サックハイム、レスリー・リンカ・グラッター、シース・マン、トリシア・ブロック、デヴィッド・ボイド、ステファン・シュワルツ 脚本:グレン・マザラ、ニコール・ビーティ、イヴァン・ライリー、サング・キュー・キム、アンジェラ・カン、スコット・M・ギンプル、フランク・レンズリ、ロバート・カークマン、ライアン・C・コールマン
本格的ゾンビもののTVシリーズ。
農場を脱出した一行はゾンビに乗っ取られた刑務所を奪取、ローリは女の子を産む。一方、前シリーズで農場脱出の際にリックたちとはぐれたアンドレアは女剣士ミショーンと行動を共にするが、シーズン1で手錠をかけたまま放置した乱暴者メルルに捕まり、総督が守る町ウッドベリーに連れて行かれる。総督に偽善を感じたミショーンは町を脱出。それを追うメルルにグレンとマギーが捕獲され、ミショーンは刑務所へ。二人の奪還作戦、メルルとダリル兄弟の再会を経て総督グループとの戦いが始まる。
前シリーズとは打って変わり、本作はドライな話に立ち戻った。息子のカールも腕のいいガンマンとなり、躊躇いなく銃をぶっ放す。敵方の少年を撃ち殺したことを咎めるリックに「これで彼は人を殺さないで済む」とクールなセリフを吐く。ウエットなリックは諸事のストレスから精神に異常をきたすが、ダリル、ミショーン、メルルがクールでかっこよく、カールも加わって、マカロニ・ウエスタン的な殺伐さが良い。
ゾンビは風景となって雑魚扱い。リックたちガンマンとアウトローの総督との疑心暗鬼に包まれた戦いが中心の物語になっていて楽しめる。もっとも総督がウォーカーになった娘を忘れられないのはシーズン2の農場主ハーシェルと同じ設定で、リック同様にウェットで直情型。ヒーローとヒールは頭に血が昇るタイプでないと、対決ドラマは面白くならないということか。
新キャラも多く登場するが、あっさり退場する者も多い。残酷描写はよりハードになってるので要注意。 (評価:3)
ウォーキング・デッド4
形式:TVシリーズ
放送:2013-2014年(16話)(日本 2013-2014年)
監督:グレゴリー・ニコテロ、ガイ・ファーランド、ダン・サックハイム、トリシア・ブロック、デヴィッド・ボイド、マイケル・アッペンダール、ジェレミー・ポデスワ、アーネスト・ディッカーソン、Julius Ramsay、シース・マン、Mike Satrazemis、デヴィッド・S・ゴイヤー、ミシェル・マクラーレン 脚本:スコット・M・ギンプル、アンジェラ・カン、ロバート・カークマン、マシュー・ネグレテ、チャニング・パウエル、ニコール・ビーティー、カーティス・グウィン、セス・ホフマン
本格的ゾンビもののTVシリーズ。
新メンバーを加えて刑務所内で農作や養豚をするが、劇症インフルエンザが発生し次々とゾンビに転化する。遠く離れた大学病院からタミフル的治療薬を手に入れ、一安心も束の間、総督が戦車を引き連れて現れる。総攻撃によって刑務所は破壊され、リックたちはバラバラになって脱出。それぞれがサバイバルをする中で鉄路に終着駅(terminus)の看板を見つけ、サンクチュアリを目指す。
これまでのシリーズでは牧歌的。前半はフェンスに集まる害虫のゾンビを退治しながらの農作業で、敵はインフルエンザ。総督のエピソードも平和的で、リベンジで一花咲かせた後は、刑務所は壊滅して、各人それぞれの牧歌的サバイバル・エピソードとなる。
本作が期待を裏切るのは、シーズン5への予告編的最終話で、次週に続きそうなto be continuedは引きが強すぎる。最終話から振り返ると、シーズン4は5への序曲かと思えるくらいに話が進まず、キャラクターのオムニバス構成で中休み的印象が残る。
カールは声変わりして少年に成長して思春期を迎え、ワシントンD.C.を目指すゾンビの秘密に関与しているらしい新キャラも加わる。 (評価:2.5)
ウォーキング・デッド5
形式:TVシリーズ
放送:2014-2015年(16話)(日本 2014-2015年)
監督:グレゴリー・ニコテロ、デヴィッド・ボイド、ジェフリー・F・ジャニュアリ、マイケル・E・サトラゼミス、アーネスト・ディッカーソン、セース・マン、ビリー・ガーハート、ジュリアス・ラムゼー、ラリーサ・コンドラッキ、ジェニファー・リンチ 脚本:スコット・M・ギンプル、ロバート・カークマン、アンジェラ・カン、コリー・リード、マシュー・ネグレテ、チャニン・パウエル、ヘザー・ベルソン、セス・ホフマン
ターミナルで捕まったリックたちは、食糧にされそうになるところをメリッサに助けられる。物語はリックたち中心メンバー、ワシントンDCを目指すエイブラハム一行、ダリルとキャロル、前シリーズで行方不明となったベスの3つのエピソードが並行する。
きなりえぐいシーンのオンパレードで残酷描写はまたまたパワーアップ。前作からの引きであるターミナル話は、キャロルが仲間を救出するとあっさり終わり、新たに登場するホスピタル一団に焦点が移る。リックも平気で人を殺すようになり、殺伐感もパワーアップ。
エイブラハム一行の真実が発覚し、リックたちの下に退却。キャロルは交通事故でアトランタに入院し、ベスと再会。ダリルがリックと合流して、2人を救出にホスピタルに向かい、3つのエピソードが1つにまとまったところでホスピタルとの対立、対決でベスが死亡する。
後半はメンバー全員で結局ワシントンDCを目指すことになる。日照り、ガソリン切れと闘いながら、新しいコミュニティに参加する。アレクサンドリアに合流したリックたちは、ハト派とタカ派に分裂。アレクサンドリア内の暴力や裏切りを覆い隠す偽善に反発するリックの蜂起によって、グループは再び結集。最後にはパラダイスのオバサン・リーダーも同調する。
タカ派のリック、キャロル、サシャは相当にヤバい人間になっていて、イスラム過激派のテロリズム世界に対するアメリカの葛藤そのものが、本作の生き残るためには障碍は排除するというタカ派思想と、暴力を否定し融和を目指すリベラル派との対立の構図に落とし込められている。
カールがすっかり声変わりし、アレクサンドリアで出会う女の子とちょっといい関係になるのも本作のチェック・ポイント。ミショーンもリックよりはよっぽど理性派の大人の女になっている。
16話の中で、移動もあるために目まぐるしく話が二転三転し、キャラクターも多く登場するので、頭が混乱する。5シリーズ目ともなるとただでさえ煩雑になるので、もう少しわかりやすい構成が欲しいところ。
ラストでモーガンがジェダイの騎士のようになって帰ってくるが、二人が出会うところでto be continuedとなるのが、悔しい。 (評価:2.5)
ウォーキング・デッド6
形式:TVシリーズ
放送:2015-2016年(16話)(日本 2015-2016年)
監督:グレッグ・ニコテロ、ジェニファー・リンチ、マイケル・スロヴィス、スティーヴン・ウィリアムズ、アヴィ・ヨービアン、ジェフリー・F・ジャニュアリー、デヴィッド・ボイド、マイケル・E・サトラズミス、カリー・スコグランド、ビリー・ギアハート、アルリック・ライリー 脚本:スコット・M・ギンプル 、マシュー・ネグレト、セス・ホフマン、アンジェラ・カン、コリー・リード、ヘザー・ベルソン、チャニング・パウエル
前シリーズのアレクサンドリアから物語はスタート。外敵の襲撃を受けアレクサンドリアがパラダイスではないということが証明され、リックたちが町の主導権を握る。崖地にゾンビを囲い込むためにゾンビを集めようとするが、外部の人間に妨害されて失敗。アレクサンドリアがゾンビによって陥落し、リックと住民はアレクサンドリアを脱出しようとするまでが前半のストーリー。
Wの一団の襲撃、シーズン3で登場した隣人モーガンが合気道家になった経緯、ワシントンDCから逃れた新たな集団が登場して関係図は複雑化する。
後半は、脱出に失敗してカールが隻眼となり、全員総攻撃で町を奪回。死んだディアナが目指していた町を発展させるという考えにリックが賛同し、アレクサンドリアのリーダーになる。そこで新たに農耕主力のヒルトップ、ニーガン率いる暴力集団と2つのコミュニティが登場し、敵はゾンビからコミュニティ同士の交易や支配に移る。
移動から定住へと方針を変えたリックたちの新たなテーマは、愛する人を守るためには敵となる人を殺さなければならないという、西部開拓時代からイラク戦争に至るまでのアメリカ的生存のための論理で、ここに生存のためには人はどこまで人間性と倫理を失えるか? というこれまでのテーマからの転換が図られる。
このテーマを最初に掲げるのがキャロルで、そのために彼女は群れを離れて孤立を選ぶ。連れ戻すためにモーガンやダリルらが探索に出るが、リックをはじめ主要メンバーが全員ニーガンに捕まってしまうという、シーズン4の終着駅と同じ幕切れとなる。 (評価:2.5)
ウォーキング・デッド7
形式:TVシリーズ
放送:2016-2017年(16話)(日本 2016-2017年)
監督:グレッグ・ニコテロ、アルリック・ライリー、デヴィッド・ボイド、ダーネル・マーティン、マイケル・E・サトラズミス、Rosemary Rodriguez、ジェフリー・F・ジャニュアリー、カリー・スコグランド、マイケル・スロヴィス 脚本:スコット・M・ギンプル、マシュー・ネグレト、アンジェラ・カン、コリー・リード、チャニング・パウエル、David Leslie Johnson
前シリーズでリックをはじめ主要メンバーがニーガンに捕まってしまうという幕切れからスタート。グレンとエイブラハムがいきなり退場してしまう。ニックはニーガンの尻の毛を抜かれ、ダリルを人質に取られ、アレクサンドリアは救世主の支配下に。一方、キャロルとモーガンは新たなコミュニティ、エゼキエル率いる王国に保護されるが、救世主の支配下にある事を知る。
妊婦のマギーとイーニッドはヒルトップに保護を求め、ニーガンと密約していたグレゴリーが失脚。調達に出たタラはニーガンから逃れた女ばかりのコミュニティ、オーシャンサイドを発見。
玉を握られたニックを見限り、カール、ロジータらが反逆する中、ダリルが救世主を脱出し、ニック以下、ニーガンへの反撃を決意するところで前半終了。
後半は共同戦線を張るための各コミュニティをリクルートするが、ヒルトップ、エゼキエルともに反応は今ひとつ。救世主に捕らえられたユージーンは転向し、特攻をかけたサシャも囚われの身。ニックはオーシャンサイドから武器を調達してゴミ山の住人たちとニーガンを迎え撃つが、とんでもない裏切りで苦境に立つ。これを救うのがサシャで、終盤の見どころ。結果、ヒルトップ、エゼキエルを巻き込んだ銃撃戦となり、ニーガンが全面戦争の幕開けを告げてシーズン8への引きとなる。
これまで無敵だったニックの弱さが描かれ、コミュニティが多く登場してニックもそのリーダーの一人にすぎないという話になっていく。強敵ナチス帝国対連合国といった図式で、ポリティカル色が強く、ゾンビとの戦いはどうなった? という感じ。長期シリーズの前途に暗雲が漂い始める。
ニーガン役のジェフリー・ディーン・モーガンが嫌らしくていい。 (評価:2.5)
ウォーキング・デッド8
形式:TVシリーズ
放送:2017-2018年(16話)(日本 2017-2018年)
監督:グレッグ・ニコテロ、ローズマリー・ロドリゲス、Dan Liu、Michael E. Satrazemis、ジョン・ポルソン、Larry Teng、David Boyd、Jeffrey F. January、Michael Slovis 脚本:スコット・M・ギンプル、Matthew Negrete、Channing Powell、デヴィッド・レスリー・ジョンソン、Angela Kang、Corey Reed、Eddie Guzelian
シーズン8は、ニックらコミュニティ連合とニーガンとの全面戦争突入で幕を開ける。ニックたちは救世主の拠点を一つ一つ潰し砦に迫るが、牧師のゲイブリエルが囚われてしまう。
前半は、両者の戦いと過去のエピソードが長々と描かれ、ストーリーは進展しない。その中で、砦攻略に失敗したエゼキエルが王として自信を失い、ダリルたちもウォーカーで砦を包囲するが、救世主についたユージーンのアイディアで脱出されてしまう。
反撃に出たニーガンはアレクサンドリア、ヒルトップ、王国を包囲、アレクサンドリアと王国は町を放棄して脱出、ヒルトップは救世主の支配下に入る。
後半は、カールが単独行の研修医セディクを仲間に引き入れる代わりに、退場してしまう。前半でニックに協力した清掃人をニーガンの命に反してサイモンが粛清し、ジェイディスだけが生き延びる。
救世主はヒルトップ制圧に向かうが、途中ニックの特攻でニーガンとのタイマン勝負。逃げ出したニーガンはジェイディスに捕まり、粛清を知ってサイモンを退場させる。
クライマックスは、カールの遺書を巡るニックとニーガンの対決で、コミュニティ連合は再出発を期して大団円となるが、シリーズ9への火種を残す。
いささか膠着状態が続いたシリーズだが、後半からは一気呵成に状況が変化。ニックとニーガンの対決も一応終止符が打たれ、マンネリ感は解消されるが、当初のワシントンD.C.に行くという目的は失われ、シリーズとしての終着点が見えない。 (評価:2.5)
ウォーキング・デッド9
形式:TVシリーズ
放送:2018-2019年(16話)(日本 2018-2019年)
監督:グレッグ・ニコテロ、Daisy Mayer、Dan Liu、ローズマリー・ロドリゲス、Larry Teng、マイケル・カドリッツ、Michael E. Satrazemis、David Boyd、Meera Menon、Liesl Tommy、Millicent Shelton、Laura Belsey 脚本:Angela Kang、デヴィッド・レスリー・ジョンソン、Corey Reed、Geraldine Inoa、スコット・M・ギンプル、Matthew Negrete、Eddie Guzelian、Vivian Tse、Channing Powell、LaToya Morgan
戦争終結したコミュニティ連合だが、早速不満が芽生える。ヒルトップのリーダーとなったマギーは救世主への協力を拒絶、謀略を企てた元リーダーのグレゴリーを絞首にする。リックは救世主との協調路線を進めるが、肉親を殺されたオーシャンサイドのシンディらは恨みを忘れず、救世主はコミュニティを出ていく。清掃人のアンも不穏な動きをする。
マギーはニーガンを殺そうとするも生かして生き地獄を選択、リックはゾンビに追われた際に捨て身で橋を爆破、アンの仲間に助けられる。
リックを失ったコミュニティ連合は分裂し、アレクサンドリアをミショーンが、キャロルはエゼキエル率いる王国の王妃となり、マギーはヒルトップを去る。ダリルは単独でリックを捜索、リックの意志を受け継ぐ娘のジュディスが連れ帰ったマグナのグループはヒルトップに迎えられる。
ロジータとユージンが遭遇した囁くウォーカーたちの正体は? というところで前半が終了。しかし囁くウォーカーは死人のマスクを被った人間だったという気が抜けるオチで、後半はこの新グループとの争いが中心。
ジュディスに協力することの大切さを教えられたミショーンが参加してコミュニティ連合が復活。マスクのリーダー・アルファに虐待を受けていた娘リディアが亡命してくるが、引き換えに王国のメンバーが殺され境界線を引かれる。
ニーガンは檻を脱走するもジュディスと仲良くなって帰還。冬将軍がやってきて王国は崩壊、ヒルトップに合流。キャロルはアレクサンドリアに戻る。
ユージンの通信機が完成、アレクサンドリアとヒルトップで交信を行った直後、女の声で謎の呼びかけが入ったところで、to be continued。
後半はリックが消えてストーリーの主軸がなくなったために、キャラクターもエピソードも分散化が進み、マスク集団のほかハイウェイマンやミショーンの旧友ジョスリンの回想までが入り、キャラクターが増えすぎて煩雑になった上に時間軸の前後や間隔が不明確で迷走気味の構成に。思い切った整理が必要な段階になった。
ジュディスが大人びているのも不自然で、拳銃を持ってニーガンと対等に渡り合うシーンに無理がある。 (評価:2.5)
ウォーキング・デッド10
形式:TVシリーズ
放送:2019-2021年(22話)(日本 2019-2021年)
監督:グレッグ・ニコテロ、David Boyd、マイケル・カドリッツ、Laura Belsey、Dan Liu、ジョン・ダール、Michael E. Satrazemis、ブロンウェン・ヒューズ、Sharat Raju、Daisy von Scherler Mayer 脚本:Angela Kang、Nicole Mirante-Matthews、Jim Barnes、Geraldine Inoa、Eli Jorne、Corey Reed、Julia Ruchman、デヴィッド・レスリー・ジョンソン、Vivian Tse、Channing Powell、Kevin Deiboldt、Corey Reeds、Erik Mountain、Jim Barnes、Heather Bellson
前シリーズから数か月、アレクサンドリア、ヒルトップ、オーシャンサイドの共同体は、囁く者との境界線を守って暮らしているが、ウォーカーの大群が次々に押し寄せてきて対応に苦慮している。実は囁く者の陰謀で、前シリーズでヘンリーを殺されたキャロルがアルファに復讐しようとして、ダリルらアレクサンドリアの面々が巻き込まれる。
ニーガンはアルファの娘リディアを助けようとしてメンバーを殺してしまい、逃亡。囁く者に合流する。一方、アレクサンドリアに潜り込んだ囁く者のスパイがセディクを殺害。ゲイブリエルがスパイを殺し、一線を越える。
ダリルらは囁く者が大量のウォーカーを保管している洞窟を発見したところで前半終了。アルファがベータと出会った回想、ユージンの無線での新たなグループとの接触、リディアのアレクサンドリア退去、ミショーンがシーサイドの図書館で出会った男と軍事基地の島へ出掛けるエピソードが挟まれる。伏線は多いが全体にストーリーが停滞気味で展開が遅い。
後半は、ガンマがアレクサンドリアに亡命。アルファはダリルとの戦いで重傷を負い、ベータ率いる囁く者の襲撃でヒルトップ炎上。ニーガンは囁く者を攪乱、ベータにガンマを殺させ、自らはアルファを殺害、リディアを保護する。アルファの死でベータは正気を失い、大量のウォーカーを率いて共同体を襲撃。ニーガン、リディアを含む全員が力を合わせて、囁く者を殲滅、全員が心を一つにする大団円となる。
軍事基地の島でリックの遺留品を発見したミショーンがリック探しの旅に出て、マギーがアレクサンドリアに復帰、ユージーンらが無線で知ったグループに会いに行くエピソードが入るが、ユージーンらがストームトルーパー風の囲まれたところで幕。
囁く者を退治、ニーガン、リディアを加えて共同体が一つとなり雨降って地固まる一方で、ユージーンらは新たなグループと出会う。
シリーズ最終回は、ここまでの16話で終わるはずだったが、COVID‑19の影響で16話の完成が遅れ、放映が半年後に延期になったため、六話が追加された。
16話で登場した新グループは"Pape"(教皇)を戴くグループで、ユージンらを捕らえ、精神不安定になったプリンセスは仲間が処刑される光景を見る。
一方、マギーが戻ったアレクサンドリアでは仇敵であるニーガンをキャロルが隔離。ニーガンは妻ルシールとの回想を経て、居辛いアレクサンドリアを出ていく決意を固める…という二つの引きで終わる。 (評価:2.5)
ウォーキング・デッド11
形式:TVシリーズ
放送:2021-2022年(24話)(日本 2021-2022年)
監督:Kevin Dowling、フレッド・トーイ、グレゴリー・ニコテロ、Sharat Raju、ジョン・アミエル、マイケル・カドリッツ、Tawnia McKiernan、Loren Yaconelli、Marcus Stokes、リリー・マライエ、Catriona McKenzie、Jeffrey F. January、カレン・ガヴィオラ、アイシャ・タイラー、ローズ・トローシュ 脚本:Angela Kang、Jim Barnes、Vivian Tse、Nicole Mirante-Matthews、LaToya Morgan、Kevin Deiboldt、Julia Ruchman、Erik Mountain、Corey Reed、Magali Lozano、デヴィッド・レスリー・ジョンソン
Part1
殺人バットを燃やしてアレクサンドリアへの帰順を決意したニーガンと、夫を殺された恨みを忘れないマギーとの一触即発の関係、車両基地でコモンウェルスに囚われたユージンたちの運命、という二つを軸に最終章は始まる。
食糧調達のためマギー一行は地下鉄トンネルを抜けてメリディアンに向かうが、リーパーズに襲われバラバラになる。ダリルはリーパーズの副官となっていた元恋人リアと再会。マギーらを手引きしてリーダーを倒すが、リアとの全面対決となる。
一方、コモンウェルスは行政機構によって作られたユートピア的なコロニーで、ユージンたちを迎え入れることになる。
第1話冒頭のシーンで、ウォーカーたちも夜になると寝るというのが新しい。
Part2
マギーらはリーパーズを殲滅するもリアに逃げられてしまう。ニーガンは非情なマギーと訣別して去り、新たなグループに参加。マギーらは食糧を手に入れてアレクサンドリアに帰るが、ユージンが迎えに来て、ダリル、キャロルらはコモンウェルスに合流する。
アーロン、ゲイブリエルはコモンウェルス副知事ホーンズビーの指示でニーガンのグループを襲うが、反乱を起こして逃亡。マギーらも加わり、コモンウェルス拡大の野望を持つホーンズビーと対峙するも、アレキサンドリアを制圧されてしまう。 一方、ユージンはステファニーことマックス、新聞記者となったコニーらと共に知事パメラの不正を暴く。
Part3
アレキサンドリアを追われたマギーは、ダリル、ニーガンらと合流、追討するホーンズビーを逆に捕らえる。
息子セバスチャンの死に怒るパメラはユージンを逮捕、仲間を強制移動させる。ダリルとキャロルは彼らを追ってコモンウェルスを脱出、ホーンズビーを討ち、仲間を糾合してコモンウェルスに侵入する。
革命の危機にパメラはウォーカーを利用。マギー、ダリルたちは多くの仲間を失うが、軍民を掌握して革命に成功。エゼキエルを新指導者とする民主国家を樹立する。
現在のアメリカの政治状況を仮託しながら、旧世界から新世界へアメリカ建国の精神に立ち戻ろうとするラスト。一人ダリルは国家を広げるために西部開拓の旅に出る。
行方不明のリックは荒くれ者相手に闘うガンマン、ミショーンはリックを探し続ける女で、最後に一応の登場。これに風来坊のダリルが加わり、ニューワールドと荒野の3人のフロンティア精神で締め括られる。
Part3は若干巻いた感じで、幕引きのために畳んだ印象がある。ウォーカーは増殖し続けるという終わりのない話なので仕方がないが、フロンティア精神をもっても中途半端感は残る。 (評価:2.5)
制作:ITV
形式:TVシリーズ
放送:2013年(5話)(日本 2016年)
監督:デイモン・トーマス
ルーシーは地縛霊だが、女の怨念は自縛を解き放つ
原題"Lightfields"で、舞台となる農場の名。字幕では「光の大地」と訳されている。
連続もののホラー・ミステリーで、ライトフィールド農場の17歳の娘ルーシーの焼死を巡って、殺人か? 事故死か? 自殺か? を追いかけていくストーリー。1944年、1975年、2012年の3つの時代のドラマが並行して進んで行き、それぞれに共通の登場人物が、それぞれの年齢で登場するため、ストーリー、人物共に、観ていてこんがらかる。同じ姿で登場するのは幽霊となるルーシーのみ。
メインは事件の起きた1944年で、農場の納屋で米兵とメイク・ラブしてしまったルーシーは、直後に焼死。手伝いに来ていた空襲で疎開中の18歳のイヴを軸に事件の真相が少しずつ明らかになって行く。
1975年は、イヴの妹ヴィヴィアンが本の執筆のために娘とライトフィールド農場にやってくる話で、ルーシーの恋人だったトムも登場するが、イヴはトムもルーシー事件も覚えていない。ルーシーの幽霊が現れ、娘が真相を追う。
2012年は、ルーシーの弟ピップが、息子夫婦、曾孫とともにライトフィールド農場に暮らす。孫の前にルーシーの幽霊が現れる。
ホラー・ミステリーだが、1944年、1975年は若いカップルのラブストーリーがエピソードとして絡み、2012年は子供の親権をめぐる家族の話が絡んで、全体には家族の物語となっている。
肝腎のホラーの方は、そこそこ怖いのだが、話が輻輳する上にエピソードが多すぎて幽霊の出る幕がない。とりわけ、状況説明が中心の1話では幽霊のユの字もないため、怖くもないのに雰囲気だけホラーにしようとする演出が却って鼻につく。
3時代を通して、ライトフィールド農場が舞台となり、ルーシーは地縛霊のはずなのだが、妻子持ちの米兵に復讐するときは農場外。女の怨念は、自縛を解き放つということか。
ルーシーの成仏は1975年で果たされているが、イギリスの幽霊は成仏して姿を消すということはなく、2012年に現れた理由がミソとなっている。
イヴ役は『ライラの冒険 黄金の羅針盤』のライラ、ダコタ・ブルー・リチャーズ。 (評価:2.5)
形式:TVシリーズ
放送:2013年(5話)(日本 2016年)
監督:デイモン・トーマス
原題"Lightfields"で、舞台となる農場の名。字幕では「光の大地」と訳されている。
連続もののホラー・ミステリーで、ライトフィールド農場の17歳の娘ルーシーの焼死を巡って、殺人か? 事故死か? 自殺か? を追いかけていくストーリー。1944年、1975年、2012年の3つの時代のドラマが並行して進んで行き、それぞれに共通の登場人物が、それぞれの年齢で登場するため、ストーリー、人物共に、観ていてこんがらかる。同じ姿で登場するのは幽霊となるルーシーのみ。
メインは事件の起きた1944年で、農場の納屋で米兵とメイク・ラブしてしまったルーシーは、直後に焼死。手伝いに来ていた空襲で疎開中の18歳のイヴを軸に事件の真相が少しずつ明らかになって行く。
1975年は、イヴの妹ヴィヴィアンが本の執筆のために娘とライトフィールド農場にやってくる話で、ルーシーの恋人だったトムも登場するが、イヴはトムもルーシー事件も覚えていない。ルーシーの幽霊が現れ、娘が真相を追う。
2012年は、ルーシーの弟ピップが、息子夫婦、曾孫とともにライトフィールド農場に暮らす。孫の前にルーシーの幽霊が現れる。
ホラー・ミステリーだが、1944年、1975年は若いカップルのラブストーリーがエピソードとして絡み、2012年は子供の親権をめぐる家族の話が絡んで、全体には家族の物語となっている。
肝腎のホラーの方は、そこそこ怖いのだが、話が輻輳する上にエピソードが多すぎて幽霊の出る幕がない。とりわけ、状況説明が中心の1話では幽霊のユの字もないため、怖くもないのに雰囲気だけホラーにしようとする演出が却って鼻につく。
3時代を通して、ライトフィールド農場が舞台となり、ルーシーは地縛霊のはずなのだが、妻子持ちの米兵に復讐するときは農場外。女の怨念は、自縛を解き放つということか。
ルーシーの成仏は1975年で果たされているが、イギリスの幽霊は成仏して姿を消すということはなく、2012年に現れた理由がミソとなっている。
イヴ役は『ライラの冒険 黄金の羅針盤』のライラ、ダコタ・ブルー・リチャーズ。 (評価:2.5)
制作:AMCスタジオズ
形式:TVシリーズ
放送:放送:2015年(6話)(日本 2015年)
監督:アダム・デヴィッドソン、カリ・スコグランド、ステファン・シュワルツ 脚本:ロバート・カークマン、デイヴ・エリクソン、Marco Ramirez、Jack LoGiudice、Meaghan Oppenheimer、David Wiener
凡庸なサイドストーリーで制作した意味が見いだせない
原題"Fear the Walking Dead"で、ウォーキング・デッドの恐怖の意。ロバート・カークマン、トニー・ムーア、チャーリー・アドラードのコミック"The Walking Dead"が原作で、TVシリーズ『ウォーキング・デッド』の前日譚・姉妹編。
ロサンゼルスが舞台で、高校の同僚マディソンと再婚した英語教師トラヴィス(クリフ・カーティス)が主人公。マディソンの長男ニックがヘロイン中毒でアジトの教会でラリってる最中に仲間がゾンビ化する。ところが、本人と周囲が幻覚か真実か疑っている間に、ゾンビは少しずつロスの町を侵食。混乱を恐れる行政はこの事実を伏せるが、いち早く異変に気付いたトラヴィスは元妻ライザと息子クリス、成り行きからエルサルバドル移民の理髪店一家を呼び寄せ、脱出寸前で軍隊に町を封鎖されてしまう。
感染の疑いをかけられたニックと理髪店妻、それに看護婦のライザを軍本部に連れ去られ、これをマディソンたちが取り戻すというのが後半のストーリーだが、ここまでの前半はいささかかったるい。
結局、ゾンビを制圧できずに軍が住民を置いて逃げ出し、マディソンたちも家族を取り戻して町を脱出。海辺の別荘に落ち着いたところでジ・エンドとなるが、2人ほど欠落し、シーズン2へと続く。
『ウォーキング・デッド』の姉妹編として何ができるかといえば、ゾンビ発生の謎か、物語はどこから始まったのかしかないが、前者は本編『ウォーキング・デッド』の最大の引きで本作で描かれるわけもなく、後者も謎に関わるためか描かれていない。
そうなるとサイドストーリーとして斬新な設定かエピソードが必要となるが、それもなく、『ウォーキング・デッド』の設定を借用した凡庸な二次創作に終わっていて、原作のコミックはともかく、二番煎じのTVシリーズをわざわざ制作した意味が見いだせない。
登場人物のキャラクター性も平凡なら、ゾンビの描写や暴力シーンも本家からは見劣りしていて、いっそヨーロッパかアジア・アフリカを舞台にした方がエキゾチックでよかったのではないか? (評価:2)
形式:TVシリーズ
放送:放送:2015年(6話)(日本 2015年)
監督:アダム・デヴィッドソン、カリ・スコグランド、ステファン・シュワルツ 脚本:ロバート・カークマン、デイヴ・エリクソン、Marco Ramirez、Jack LoGiudice、Meaghan Oppenheimer、David Wiener
原題"Fear the Walking Dead"で、ウォーキング・デッドの恐怖の意。ロバート・カークマン、トニー・ムーア、チャーリー・アドラードのコミック"The Walking Dead"が原作で、TVシリーズ『ウォーキング・デッド』の前日譚・姉妹編。
ロサンゼルスが舞台で、高校の同僚マディソンと再婚した英語教師トラヴィス(クリフ・カーティス)が主人公。マディソンの長男ニックがヘロイン中毒でアジトの教会でラリってる最中に仲間がゾンビ化する。ところが、本人と周囲が幻覚か真実か疑っている間に、ゾンビは少しずつロスの町を侵食。混乱を恐れる行政はこの事実を伏せるが、いち早く異変に気付いたトラヴィスは元妻ライザと息子クリス、成り行きからエルサルバドル移民の理髪店一家を呼び寄せ、脱出寸前で軍隊に町を封鎖されてしまう。
感染の疑いをかけられたニックと理髪店妻、それに看護婦のライザを軍本部に連れ去られ、これをマディソンたちが取り戻すというのが後半のストーリーだが、ここまでの前半はいささかかったるい。
結局、ゾンビを制圧できずに軍が住民を置いて逃げ出し、マディソンたちも家族を取り戻して町を脱出。海辺の別荘に落ち着いたところでジ・エンドとなるが、2人ほど欠落し、シーズン2へと続く。
『ウォーキング・デッド』の姉妹編として何ができるかといえば、ゾンビ発生の謎か、物語はどこから始まったのかしかないが、前者は本編『ウォーキング・デッド』の最大の引きで本作で描かれるわけもなく、後者も謎に関わるためか描かれていない。
そうなるとサイドストーリーとして斬新な設定かエピソードが必要となるが、それもなく、『ウォーキング・デッド』の設定を借用した凡庸な二次創作に終わっていて、原作のコミックはともかく、二番煎じのTVシリーズをわざわざ制作した意味が見いだせない。
登場人物のキャラクター性も平凡なら、ゾンビの描写や暴力シーンも本家からは見劣りしていて、いっそヨーロッパかアジア・アフリカを舞台にした方がエキゾチックでよかったのではないか? (評価:2)
制作:BBCフィルムズ
形式:TVドラマ(単発)
放送:2015年(日本 2016年4月23日劇場公開)
監督:ポール・アンドリュー・ウィリアムズ 製作:ローレンス・ボーウェン、ケン・マーシャル 脚本:サイモン・ブロック 撮影:カルロス・カタラン 音楽:ローラ・ロッシ
テレビドラマのため総花的になったのが残念
原題"The Eichmann Show"で、アイヒマンのテレビ番組の意。
1960年にアルゼンチンでモサドに逮捕された元ナチ親衛隊中佐アドルフ・アイヒマンの裁判の実況をテレビ放送した男たちの物語。
BBCが制作・放送したもので、歴史ドラマとしてテレビで放送する分にはよくできているが、映画としてはやはり軽量感は否めない。
本作の目玉は『ホビット』シリーズのビルボ役、マーティン・フリーマンがアメリカのテレビ・プロデューサーを演じていること。
視聴率を気にするプロデューサーに対し、ディレクター(アンソニー・ラパーリア)の狙いは、誰でもがファシストになれることを実証すること。そのために、裁判中の検事や証人よりもアイヒマンの表情の変化を追い続けるが、アイヒマンの表情は微動だにしない。人間なのか、それとも怪物なのか? というところで、記録フィルムを見せられたアイヒマンがわずかに表情を変え、ディレクターの狙いは成功する。
・・・というはずだが、裁判シーンは基本的に裁判の実際の映像を使っているために、アイヒマンの表情が変わったように見えないのが残念。全体には、アイヒマン裁判の様子や収容所の記録フィルムや写真を多用して、ホロコーストの実態にも重点を置いたために、アイヒマン対ディレクターという対決構図も希薄にしか描かれない。
興味深いのは、当時収容所から生還したユダヤ人たちがナチに協力した卑怯者と見做され、イスラエルでホロコーストの実態を話しても信じてもらえなかったというエピソードで、カメラマンとホテルの女主人もその一人。むしろ、彼らを中心に据えた方が、テレビ放送で名誉を回復できたという、ドラマ的には芯が通ったものになったかもしれない。
テレビ局が制作したために、テレビとテレビマンをヒーローにしたドラマに拘ったのが、作品を総花的にした。
ホロコーストの記録フィルムは結構エグイので、見る際は要注意。 (評価:2.5)
形式:TVドラマ(単発)
放送:2015年(日本 2016年4月23日劇場公開)
監督:ポール・アンドリュー・ウィリアムズ 製作:ローレンス・ボーウェン、ケン・マーシャル 脚本:サイモン・ブロック 撮影:カルロス・カタラン 音楽:ローラ・ロッシ
原題"The Eichmann Show"で、アイヒマンのテレビ番組の意。
1960年にアルゼンチンでモサドに逮捕された元ナチ親衛隊中佐アドルフ・アイヒマンの裁判の実況をテレビ放送した男たちの物語。
BBCが制作・放送したもので、歴史ドラマとしてテレビで放送する分にはよくできているが、映画としてはやはり軽量感は否めない。
本作の目玉は『ホビット』シリーズのビルボ役、マーティン・フリーマンがアメリカのテレビ・プロデューサーを演じていること。
視聴率を気にするプロデューサーに対し、ディレクター(アンソニー・ラパーリア)の狙いは、誰でもがファシストになれることを実証すること。そのために、裁判中の検事や証人よりもアイヒマンの表情の変化を追い続けるが、アイヒマンの表情は微動だにしない。人間なのか、それとも怪物なのか? というところで、記録フィルムを見せられたアイヒマンがわずかに表情を変え、ディレクターの狙いは成功する。
・・・というはずだが、裁判シーンは基本的に裁判の実際の映像を使っているために、アイヒマンの表情が変わったように見えないのが残念。全体には、アイヒマン裁判の様子や収容所の記録フィルムや写真を多用して、ホロコーストの実態にも重点を置いたために、アイヒマン対ディレクターという対決構図も希薄にしか描かれない。
興味深いのは、当時収容所から生還したユダヤ人たちがナチに協力した卑怯者と見做され、イスラエルでホロコーストの実態を話しても信じてもらえなかったというエピソードで、カメラマンとホテルの女主人もその一人。むしろ、彼らを中心に据えた方が、テレビ放送で名誉を回復できたという、ドラマ的には芯が通ったものになったかもしれない。
テレビ局が制作したために、テレビとテレビマンをヒーローにしたドラマに拘ったのが、作品を総花的にした。
ホロコーストの記録フィルムは結構エグイので、見る際は要注意。 (評価:2.5)
形式:TVドラマ(単発)
放送:2018年(日本 2022年11月12日)
監督:ジャン=クリストフ・クロッツ 脚本:ジャン=クリストフ・クロッツ、フランソワ・ブリンガー 撮影:Alberto Marquardt、Olivier Raffet
原題"John Ford, l'homme qui inventa l'Amérique"で、邦題の意。
西部劇の名匠ジョン・フォードのドキュメンタリーで、アメリカではなくフランスの制作というのが面白い。
ジョン・フォードにより一躍西部劇の舞台として脚光を浴びることになったモニュメントバレーが歴史的には西部劇とは無縁の地だというプロローグから始まり、それまでサイレントからトーキーに時代へと入り、『駅馬車』(1939)の大ヒット後、西部劇を通して白人中心主義のアメリカではない、負の歴史を描いた作品歴を辿る。
西部劇が一段低く見られていたこと、フォードとコンビを組んだジョン・ウェインが西部の男を体現する保守主義者だったことからヒューマニストのフォードが同様に誤解されていたり、実際には作風から共産主義者と疑われていた、作品や信条について語らない偏屈な男だったといった解説が興味深い。
改めてフォードの西部劇の底流にあるものを確認することができるが、フォードの無口ゆえか人物像に今一つ迫れていないのが歯がゆい。 (評価:2)
制作:スタジオドラゴン、カルチャーデポ
形式:TVシリーズ
放送:2019-2020年(16話)(日本 2022年)
監督:イ・ジョンヒョ 脚本:パク・ジウン
コメディ仕立ての『ロミオとジュリエット』38度線ヴァージョン
原題"사랑의 불시착"で、邦題の意。韓国tvNで放送されたTVドラマ。
韓国財閥令嬢で実業家でもあるユン・セリ(ソン・イェジン)が、パラグライダーの試験飛行中に過って北朝鮮に着陸してしまい、帰還を巡って騒動が起きるという韓国ならではの設定で、これに党幹部子息で北朝鮮兵士リ・ジョンヒョク(ヒョンビン)との恋愛と財閥の後継者争いを巡る策謀が絡むというコメディ仕立てのラブストーリーになっている。
前半は、二人が出会い、ジョンヒョクが極秘裏にセリを韓国に帰還させるために一騒動、二騒動あった後に、それぞれが北と南に別れるまで。後半は、セリに復讐するために防諜機関のチョ・チョルガン(オ・マンソク)が韓国に潜入、ジョンヒョクが韓国に渡ってセリを護り、北朝鮮に帰還するまで。
端的にいえば『ロミオとジュリエット』で、キャピュレット家が韓国、モンタギュー家が北朝鮮で、二人の障碍となるのは38度線ということになる。
北朝鮮の生活習慣がギャグとなるが、単に北の後進性をおちょくるだけでなく、南の現代風俗も相対的なシニカルな笑いの対象にしているので、嫌味がなくてむしろ微笑ましかったりする。
細かい伏線が良く出来ているシナリオで、北朝鮮の地方の庶民の暮らしだけでなく、平壌との生活のギャップや、党幹部、民間経営者などの特権階級が、西側とそれほど変わらないブルジョアな生活をしている描写が面白い。
韓国に舞台が移ってからはラブシーンが多くなり、韓流恋愛ドラマになっていくので早送りしたくなる。
ジョンヒョクの北朝鮮帰還後、二人が織姫と彦星になるラストがいい。 (評価:2.5)
形式:TVシリーズ
放送:2019-2020年(16話)(日本 2022年)
監督:イ・ジョンヒョ 脚本:パク・ジウン
原題"사랑의 불시착"で、邦題の意。韓国tvNで放送されたTVドラマ。
韓国財閥令嬢で実業家でもあるユン・セリ(ソン・イェジン)が、パラグライダーの試験飛行中に過って北朝鮮に着陸してしまい、帰還を巡って騒動が起きるという韓国ならではの設定で、これに党幹部子息で北朝鮮兵士リ・ジョンヒョク(ヒョンビン)との恋愛と財閥の後継者争いを巡る策謀が絡むというコメディ仕立てのラブストーリーになっている。
前半は、二人が出会い、ジョンヒョクが極秘裏にセリを韓国に帰還させるために一騒動、二騒動あった後に、それぞれが北と南に別れるまで。後半は、セリに復讐するために防諜機関のチョ・チョルガン(オ・マンソク)が韓国に潜入、ジョンヒョクが韓国に渡ってセリを護り、北朝鮮に帰還するまで。
端的にいえば『ロミオとジュリエット』で、キャピュレット家が韓国、モンタギュー家が北朝鮮で、二人の障碍となるのは38度線ということになる。
北朝鮮の生活習慣がギャグとなるが、単に北の後進性をおちょくるだけでなく、南の現代風俗も相対的なシニカルな笑いの対象にしているので、嫌味がなくてむしろ微笑ましかったりする。
細かい伏線が良く出来ているシナリオで、北朝鮮の地方の庶民の暮らしだけでなく、平壌との生活のギャップや、党幹部、民間経営者などの特権階級が、西側とそれほど変わらないブルジョアな生活をしている描写が面白い。
韓国に舞台が移ってからはラブシーンが多くなり、韓流恋愛ドラマになっていくので早送りしたくなる。
ジョンヒョクの北朝鮮帰還後、二人が織姫と彦星になるラストがいい。 (評価:2.5)
形式:インターネットドラマシリーズ
配信:2019-2020年(8話)
監督:デイブ・フィローニ、リック・ファミュイワ、Deborah Chow、ブライス・ダラス・ハワード、Taika Waititi 製作:ジョン・ファヴロー 脚本:ジョン・ファヴロー、デイブ・フィローニ、リック・ファミュイワ、Christopher Yost 撮影:グリーグ・フレイザー
原題"The Mandalorian"で、劇中に登場する惑星マンダロア(Mandalore)に関連する戦士集団のこと。『スター・ウォーズ』初のインターネット配信の実写ドラマシリーズ。賞金稼ぎや傭兵を稼業としている者が多く、ボバ・フェットもその一人。
舞台はエピソード6で帝国軍が滅んだ5年後、マンダロリアンの賞金稼ぎ、通称マンドー、本名ディン・ジャリンが主人公。惑星ネヴァロで帝国軍残党から依頼を受け、惑星アルバラー7でヨーダと同種族の幼児ザ・チャイルドを捕獲、クライアントに届ける。しかし罪悪感からザ・チャイルドを奪い返したため、掟破りとしてギルドの賞金稼ぎたちに追われる身となり、惑星を転々とする。
ギルドの世話役カルガからクライアントを殺せば手配を止めると提案されたマンドーは、クライアントを罠にかけるが、帝国軍元将校ギデオン率いるトルーパー軍に包囲され、下水道から脱出。ギデオンの残党を壊滅させて、ザ・チャイルドの保護者となって種族に戻すため惑星ネヴァロを離れるが、TIEファイターで墜落したギデオンが生き残っていたという引きで幕となる。
マンドーが賞金稼ぎをしながらマンダロア装甲を強化、最後にマンダロリアンのリーダー・アーマラーからジェットパックをプレゼントされ、空中飛行ができるようになる。
ザ・チャイルドも50歳の幼児の時からフォースの使い手となり、マンドーのピンチを幾度となく救うといった、『スター・ウォーズ』の設定説明が楽しい。
惑星アルバラー7で出会う現地人クイール、ドロイドの賞金稼ぎIG-11が仲間となるが、ギデオンとの戦いで死亡。同じく仲間となる第4話の惑星ソーガンで出会う元反乱軍ショックトルーパーのデューンは最終話で別れる。
流れ者の賞金稼ぎが主人公ということから、全体的なテイストはマカロニ・ウエスタン風で、テーマ曲もマカロニ・ウエスタン調。ザ・チャイルドを連れている点では、『子連れ狼』の雰囲気も漂わせている。 (評価:2.5)
マンダロリアン シーズン2
形式:インターネットドラマシリーズ
配信:2020年(8話)
監督:ジョン・ファヴロー、ペイトン・リード、ブライス・ダラス・ハワード、カール・ウェザース、デイブ・フィローニ、ロバート・ロドリゲス、リック・ファミュイワ、Peyton Reedi 製作:ジョン・ファヴロー 脚本:ジョン・ファヴロー、デイブ・フィローニ、リック・ファミュイワ 撮影:グリーグ・フレイザー
原題"The Mandalorian"で、劇中に登場する惑星マンダロア(Mandalore)に関連する戦士集団のこと。
マンダロリアンの賞金稼ぎ、通称マンドー、本名ディン・ジャリンが主人公。前シリーズでヨーダと同種族の幼児ザ・チャイルドを捕獲したマンドーは、同じ種族に引き渡すため、情報を求めて仲間のマンダロリアンを探す旅に出る。
『子連れ狼』マンドーが最初に訪れるのはタトゥイーンの街モス・ペルゴで、保安官から古物となっていたボバ・フェットのアーマーを手に入れる。次に訪れるのがトラスクで、帝国軍と戦う3人のマンダロリアンの誘いを断り、ネヴァロで帝国軍秘密基地を破壊した後、コルヴァスへ。カロダンの街を占拠する帝国軍と戦うジェダイ騎士のアソーカに会い、ザ・チャイルドの名がグローグーだと知る。ベスカー鋼の槍を手に入れ、タイソン星のジェダイ聖堂跡へ。
グローグーは台座で瞑想しジェダイとの交信を図っていると、アーマーの返還を求めてボバ・フェット登場。グローグーの安全を条件にマンドーが返したところに帝国軍が現れグローグーを連れ去る。マンドーとの約束を守るためグローグー奪還にボバが同行。ネヴァロで保安官になっていたキャラ・デューンも加勢、惑星モラクで情報を得てグローグーを拉致したギデオンのクルーザーを追う。
クルーザーを襲ったマンドーはギデオンを捕獲。グローグーを救出したところに交信を受けたルーク・スカイウォーカーが到着。グローグーを引き渡してマンドーは使命を果たす。
マンドー演じるペドロ・パスカルに今一つ魅力がなかったのか、子連れ狼の世界観が受けなかったのか、魅力的な話が作れなかったのか、マンドー篇は意外にもあっさりと終了。
ボバと同行のフェネックタトゥイーンのジャバ・ザ・ハット宮殿を襲い、後釜ビブ・フォーチュナを殺して玉座に座ったところで、"The Book of Boba Fett"の予告となり、完全に繋ぎのシリーズとなったのが少々寂しい。
帝国軍の新兵器ダークトルーパーはデザインが鉄人28号に似ているが、無敵なだけで今一つ個性に欠ける。 (評価:2.5)
マンダロリアン シーズン3
形式:インターネットドラマシリーズ
配信:2023年(8話)
監督:リック・ファミュイワ、レイチェル・モリソン、リー・アイザック・チョン、カール・ウェザース、ピーター・ラムジー、ブライス・ダラス・ハワード 製作:ジョン・ファヴロー 脚本:ジョン・ファヴロー、Noah Kloor、デイブ・フィローニ 撮影:デヴィッド・クライン
原題"The Mandalorian"で、劇中に登場する惑星マンダロア(Mandalore)に関連する戦士集団のこと。
マンダロリアンの賞金稼ぎ、通称マンドー、本名ディン・ジャリンが主人公。
『ボバ・フェット』(2021-2022)でヘルメットを脱いだマンドーは掟を破った償いのために、戻ってきたグローグーとともに惑星マンダロアの泉に行き、ボ=カターンとともに罪を祓う。
ボ=カターンはマンダロリアン統一のために、傭兵となっている元配下たちを復帰させ、マンダロアで生き残った仲間を加えてマンダロア復活を図るが、マンダロアを基地化しマンダロリアン全滅を図るギデオン率いる帝国軍残党と交戦することに。激戦の末、ギデオンを倒してマンダロア再興の第一歩を歩み出す。
ストーリーの中で、グローグーはマンダロリアンとしての訓練を始め、マンドーの養子に迎えられるが、ルーク・スカイウォーカーの下でのジェダイとしての修業をなぜ止めてしまったのかは不明。身体的にも能力的にもマンダロリアンの一員になるのは無理があり、シリーズ継続のための人気キャラゆえの都合となっている。
これも無理があるが、グローグーのアーマーは戦闘用ドロイドIGシリーズで、11から12に乗り換える。 (評価:2.5)
形式:インターネットドラマシリーズ
配信:2021-2022年(7話)
監督:ロバート・ロドリゲス、ステフ・グリーン、ケヴィン・タンチャローエン、ブライス・ダラス・ハワード、デイブ・フィローニ 脚本:ジョン・ファヴロー 撮影:ディーン・カンディ 音楽:ルートヴィッヒ・ヨーランソン
原題"The Book of Boba Fett"で、ボバ・フェットの書の意。『スター・ウォーズ』のインターネット配信の実写ドラマシリーズで、『マンダロリアン』(2019-2020)のスピンオフ。
ボバ・フェットは『スター・ウォーズ』シリーズに登場する賞金稼ぎで、エピソード6『スター・ウォーズ ジェダイの復讐』(1983)で惑星タトゥイーンの怪物サルラックに呑み込まれた後、脱出するところから始まる。
前半は、ジャバ・ザ・ハット亡き後の宮殿に乗り込んだボバが、バクト・タンクの中で治療を受けながら、惑星カミーノの子供時代、父の死、エピソード6後のサルラックからの脱出、砂漠でヘルメットとアーマーをジャワに奪われたこと、砂漠の種族タスケン・レイダーとの生活、相棒のフェネック・シャンドとの出会いを回想。
同時に大名となってカンティーナを支配したボバと市長との主導権争い、失業したモス・エスパの若者たちとの出会いが描かれるが、回想が時系列に関係なくランダムに挿入されるために、現在進行形のエピソードを含めて話が錯綜し、わかりにくいシナリオになっている。
後半は、マンダロリアンのマンドーに話が変わり、賞金稼ぎをしながらジェダイに預けたグローグーに会いに行く『マンダロリアン』シーズン2の後日談となる。
パダワンとしてルークから修行を受けているグローグーに会うことは叶わず、惑星タトゥイーンで市長の背後にいるパイクシンジケートに挑むボバに助力することにある。
ボバの宮殿を襲撃するパイクシンジケートとの最終家となるが、そこに現れるのがマンドーを追ってきたグローグーで、多勢に無勢のボバたちの救世主となるというラスト。
登場キャラクターやエピソードが多彩というよりはてんこ盛り、話を広げすぎで、『スター・ウォーズ』と『マンダロリアン』の両方をよく覚えていないと理解不能な内容になっている。
それに輪をかけているのがわかりにくいシナリオで、『スター・ウォーズ』マニア向けではない丁寧さが欲しかった。 (評価:2)
形式:インターネットドラマシリーズ
配信:2022年(6話)
監督:デボラ・チョウ 脚本:ジョビー・ハロルド、ホセイン・アミニ、スチュアート・ビーティー、ハンナ・フリードマン、アンドリュー・スタントン 撮影:チョン・ジョンフン 音楽:ナタリー・ホルト
原題"Obi-Wan Kenobi"。『スター・ウォーズ』のインターネット配信の実写ドラマシリーズで、エピソード3『シスの復讐』(2005)から10年後の物語。
タトゥイーンに身を潜めてルークの成長を見守っていたオビ=ワン(ユアン・マクレガー)は、帝国軍の危険が迫ったことを知って惑星を去るが、オルデランの王女として育てられたレイア(ヴィヴィアン・ライラ・ブレア)が誘拐されたことを知って救出に向かう。
救出後、帝国軍の尋問官サード・シスターことリーヴァ・セヴァンダー(モーゼス・イングラム)に追われることになるが、リーヴァはジェダイ聖堂で粛清された幼いパダワンの生き残りで、ダース・ベイダーとなったアナキンに近づいて殺すために帝国軍内で出世を目指し、オビワン追討の手柄を立てようとするのがもう一つの流れ。
レイアの救出に成功したオビ=ワンはダース・ベイダーとの最終決戦に臨む。オビ=ワンとダース・ベイダーの師弟対決再び! だが、中盤までオビ=ワンがあまりに弱すぎるのが違和感だが、最終決戦でようやく実力を取り戻す。
一方ダース・ベイダーに敗れたリーヴァは、タトゥイーンに向かい幼いルークを奪うが、ジェダイ聖堂の記憶から殺すことができない。リーヴァはライトセーバーを葬るというラスト。オビ=ワンに敗れたダース・ベイダーはパルパティーンに弱さを指摘する。
幼いレイアの将来に繋がる生意気さがいいが、リーヴァとオーウェン夫妻が互角の勝負するなど、エピソード4に繋がるキャラクターを殺せないという若干、?となる生煮えなご都合主義の粗さがある。 (評価:2.5)