海月衛 映画帖
~映画の大海原をたゆたう~

TVドラマレビュー(外国)──1971~2000年


制作:ワーナー・ブラザース・テレビジョン
形式:TVシリーズ(2話)
放送:1979年(日本 1982年1月23日劇場公開)
監督:トビー・フーパー 製作:スターリング・シリファント、リチャード・コブリッツ 脚本:ポール・モナシュ 撮影:ジュールス・ブレンナー 音楽:ハリー・サックマン

ラストシーンのためとはいえ恋人を助けないのは無理がある
 原題"Salem's Lot"で、架空の地名。スティーヴン・キングの同名ホラー小説が原作。
 プロローグは南米グァテマラから始まり、主人公の小説家ベン(デヴィッド・ソウル)と少年マーク(ランス・カーウィン)の2年前の回想へと戻る。
 舞台はアメリカ東北部メイン州の田舎町セイラムズ・ロット。ベンが10歳までを過ごした町にやってきて、幽霊を見たことのある丘の家マーステン館を手に入れようとするが売約済みで、仕方なく麓の下宿を借り、マーステン館を題材にしたホラー小説の執筆を始める。
 ところが呪われた家は魔を呼ぶとあって、マーステン館の買主は黒服の男ストレイカー。町に骨董店を開くが、店のマスターはバーロウという男でまだ姿を見せない。ある夜、大きな木箱の船荷が届いてマーステン館に運び込まれるが、中にいるのがバーロウことマスター。
 街の子供が生贄に捧げられ、次から次と人が死ぬが、それもそのはずマスターは吸血鬼というお話。
 ベンは恋仲になった娘スーザンの父ビルとともに吸血鬼退治にマーステン館に乗り込むが、ビルは呆気なくストレイカーに殺され、館に潜り込んでいたオカルト好きのマークと地下室のバーロウの棺を見つけ、胸に杭を打って退治。館に火を放つ。
 話はプロローグに戻り、ベンとマークがマスターの下僕から逃げていることがわかる。そこに現れるのがスーザンで、時遅くマスターの下僕となっていたことがわかる。誘惑するスーザンの胸に杭を打つが、逃亡劇は終わらないとマークと頷き合ってエンドマークとなる。
 よくわからないのがマスターの執事ストレイカーは人間でビルに銃で撃たれて死んでしまうが、人間とは思えない超人の力を発揮することで、そのパワーの源は如何に? 
 ベンが館に火をつける時、スーザンがいるのを知りながら助けないこと。もっともこの時すでにマスターの下僕で、それを明かしたらラストシーンのネタばれになるというシナリオ上の要請だが、恋人を助けないのはどうにも無理がある。
 よくある平凡な吸血鬼もので、長尺の割には面白くないのはテレビサイズのためか。 (評価:2)

制作:NBC
形式:TVシリーズ
放送:第1シリーズ1987-1988年(26話)第2シリーズ1988-1989年(22話)第3シリーズ1989-1990年(26話)第4シリーズ1990-1991年(26話)第5シリーズ1991-1992年(26話)第6シリーズ1992-1993年(26話)第7シリーズ1993-1994年(26話)

次世代はSFよりお色気、レギュラーの魅力も今ひとつ
『新スタートレック』(Star Trek: The Next Generation)は7シーズン178話放映された。"The Next Generation"は次世代。
 T-SITEのレビューページは、『新スタートレック』のすべてのビデオに対応してなく、セレクションの一部がこのページに誘導されている。
 本作のTV放映は観ていない。セレクションで観るテイストはオリジナルシリーズ『宇宙大作戦』とはかなり異なっていて、ピカード艦長はインテリ・堅物で、探検よりも女絡みのお色気エピソードが多いという、如何にもな90年代TVドラマ。人気が今ひとつだった理由もわかる。
 オリジナルに比べコクピットのシーンが少なく、船内バーや艦長以下の主要クルーがサロンで和やかに話すシーンも多く、宇宙船操縦の緊迫感に欠ける。
 レギュラーメンバーも『スターウォーズ』風で、ピカード=ハン・ソロ、ライカー=ルーク、トロイ=レイア、データ=C3PO、ウォーフ=チューバッカに置き換えると理解が早いが、その割には魅力が今ひとつ。
 本シリーズの目玉、ホロデッキの船内仮想空間は、宇宙船に地球の生活を持ち込むことになって、制作上は自由度を広げたが、バラエティ的になり、逆にSFの興趣を損なっている。
 これを"Star Trek"の次世代型と捉えるか、変質と捉えるか。
 セレクションの各話タイトルは以下の通り。
・新スター・トレック1 超時空惑星カターン(2006発売)
#65"Allegiance:ピカードがエイリアンに誘拐され、そっくりさんと入れ替わる密室劇。そっくりさんが医師のビバリーを口説く。
#66"Captain's Holiday":ライサ星でのピカードのバカンス。美女に言い寄られて、未来人の兵器の争奪戦に巻き込まれる。(以上、第3シリーズ)
#101"Darmok":ピカードが言葉の通じないタマリアン人艦長と惑星に転送され、コミュニケートしようとするうちに友情を通わす。
#125"The Inner Light":表題のエピソード。(邦題「超時空惑星カターン」)謎の探査機と遭遇。ピカードは昏睡状態となり、夢の中で滅んだカターン星の記憶を体験する。(以上、第5シリーズ)
・新スター・トレック2 アンドロイドのめざめ(2006発売)
#60"Deja Q":パワーを奪われた高次元生命体Qが、人間となってエンタープライズ号に現れ雇ってもらうが、知識のレベルが合わない。
#61"A Matter of Perspective":研究基地が爆発。直前まで査察に訪れていたライカーが博士殺しの容疑者として疑われる。ホロデッキによる再現法廷劇。
#62"Yesterday's Enterprise":エンタープライズ号が別の時空に紛れ込み、ナターシャ・ヤーとクリンゴンと交戦中の過去のエンタープライズ号が現れる。タイムパラドックスを避けるために悲劇を選ぶ。
#63"The Offspring":データがアンドロイドの子供を作る。父親となって養育するが、提督は連邦で育てるとエンタープライズに乗りこんでくる。(以上、第3シリーズ) (評価:2)

制作:NBC
形式:TVシリーズ
放送:1984年(22話)(日本 1986年)
監督:ポール・シェアリング

パイロット版はヘタな映画よりも面白い
 シリーズの最初で、パイロット版(第1話)と放送用第2話が収録されている。パイロット版は2時間で、映画並みの力作。ソニーとダブスの出会いを描くプロローグとなっている。第2話以降は60分の時間的にも内容的にもテレビサイズ。パイロット版と比べると見劣りがするが、テレビ用刑事ドラマとしては良くできている。ただ残念なのは、日本語吹替版が不完全で、国内放送でカットされた部分の追加吹替えがなく原語・日本語字幕で代用している。
 オン・エアは1、2度観たくらいなので、シリーズ全体の評価は控えるが、フロリダ海岸とビーチサウンド、高級外車が好きな人には堪えられないテーストを持っている。日本でいえばバブル前、ドラッグと犯罪に明け暮れるアメリカの懐かしき良き時代の良質の刑事ドラマといえる。パイロット版の出来はかなり良いので、それだけでもヘタな映画を見るよりはお薦め。viceは不道徳という意味で、vice squadで風紀犯罪取締班。 (評価:3)

制作:Mutant Enemy Productions
形式:TVシリーズ
放送:1997年(12話)(日本 2000年)
監督:チャールズ・マーティン・スミス、ジョン・T・クレッチマー、スティーブン・クレイグ、ブルース・セス・グリーン、デヴィッド・シーメル、スコット・ブラジル、スティーヴン・ポージー、エレン・S・プレスマン、レーザ・バディ、ジョス・ウィードン 脚本:ジョス・ウィードン、デイナ・レストン、デヴィッド・グリーンウォルト、ロブ・デス・ホテル、ディーン・バタリ、マット・キーン、ジョン・レインクメイヤー、アシュリー・ゲーブル、トーマス・A・スェーデン

設定とシナリオはおざなりだが慣れるとそこそこ楽しめる
 原題"Buffy the Vampire Slayer"で、バフィー、吸血鬼退治者の意。
 ヴァンパイア・ハンターの女子高生バフィーが主人公の学園青春ホラーコメディで、見どころはバフィーを演じるサラ・ミシェル・ゲラーの可愛さと、学園青春ものという2点に尽きる。
 映画『バッフィ ザ・バンパイア・キラー』(1992)の続編として制作されたためか、ヴァンパイアがいる世界が当然のようなドラマの始まり方に相当面喰う。転校生のバフィーが有名人のように扱われる割にはヴァンパイアの存在は世間に認知されていないようでもあって、ストーリーと設定はおざなりというかご都合主義。
 #1-2は、復活を目論むヴァンパイア・マスターの下僕たちを退治する、バフィーと後見人の図書館司書ジャイルズ、級友ウィロー、ザンダーらの紹介編。#3は魔女、#4はカマキリ女と他愛のないお気楽エピソード。
 #5はヴァンパイア・マスター復活のための救世主登場、#6はハイエナ教、#7はエンジェルの秘密で、女子高生ライフと仕事の両立に悩むバフィーの悩みと学いすらえるいいす園青春路線に磨きがかかる。
 #8は本に封じられていた悪魔が電脳世界に復活する話。#9は内臓を手に入れて復活する悪魔の話、#10は学園を恐怖に陥れる夢魔、#11は透明人間にされてしまった少女の復讐、#12はバフィーとバンパイア・マスターの対決で締め括る。
 学園内で殺人事件が日常化する言い訳が、町が地獄の口にあって魔物が蠢くというもので、人が死んだり魔物が登場しても大事にならないが、この設定に慣れるとそこそこ楽しめてしまうという変わり種ホラー。 (評価:2)